日本国内における
SFTS (重症熱性血小板減少症候群)の状況

Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome

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SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは 

日本国内におけるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)の状況

・重症熱性血小板減少症候群(SFTS, Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)は、マダニにより媒介されるSFTSウイルスによる感染症です。日本国内では2013年1月に初めて患者が報告され、2021年以降は毎年100名を超える感染者が確認されています。特に本年は5月以降の感染者数が例年よりも増加しています。

・ 我々の研究成果によると、SFTSの感染者数は季節変動があり、5~7月にピークを迎えその後一旦感染者は減少しますが、、10月には若干の上昇があり、11月以降は、感染者が減少します(Roger’s test, p<0.001)。本年は5月~8月には例年より多い感染者数を記録しましたが、9月に入ってからの感染者数は減少傾向にありました。10月の再上昇について、引き続き注意が必要です。

・SFTSウイルスを媒介するマダニに刺されないように、マダニが多く生息する場所に入る場合には、長袖・長ズボン、防止、手袋を着用し、首にタオルを巻く等、肌の露出を少なくする、マダニ用の虫よけ剤を使用する、また、屋外活動後は入浴し、マダニにさされていないかを確認しましよう。

2025年10月10日修正更新

データ・情報ー厚生労働省・国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト
厚生労働省 人口動態統計  総務省 人口推計
研究ー名古屋市立大学研究チーム EID Research Resource Library


直近4週間の状況

・直近4週間におけるSFTS報告数は、週3~5人で推移しています。週ごとの疾患集積性の空間解析では、先週までは有意な集積地域は認められていませんでしたが、本週39週(9月22日から9月28日)には、鳥取、広島、山口、高知、福島、佐賀で集積地域が同定されました(p=0.009)。
・SFTSは例年10月にやや増加する傾向があります。引き続き注意を心がけましょう。

図1.直近4週間 SFTS症例数の地理分布(青)と感染者の集積地域(赤)マップ

※感染者の集積地域とは、感染者数(推定値)・人口・周辺地域の感染状況等から、統計的に他の地域よりも感染者が集積している地域のことを指します。解析では、相対リスクと共に集積地域を算出し、地図上に示しています。地図上の「赤色」は、最も集積性を示した地域(第1集積地域/高リスク地域)として同定された地域であり、「ピンク色」は、第1集積地域として同定されましたが、他の地域と比べて統計的に有意でない地域を示しています。

図2.都道府県別STFS症例数-直近4週間

2013年~2025年(公表日まで)の状況

SFTSは2025年5月以降、例年を上回る急増を示し、第39週(9月28日現在)までにすでに165名の患者が報告されています(うち死亡9名、致死率5.4%)。

地理的には、西日本を中心に九州・四国・中国・関西で多く確認されていますが、近年は愛知・静岡・神奈川、さらには北海道へと徐々に分布が東へ拡大しています。

SFTSの発生には季節変動があり、例年5~7月に増加し、さらに10月にも再び上昇傾向が認められます(Roger’s test, p<0.001)。

図3.日本におけるSFTS症例数の経時推移 (2013年~2025年*)

図4.SFTS症例数の地理的分布と感染者の集積地域マップ:年別データによる

図5.SFTS症例の発生年別の症例数・死亡者数 (2013年~2025年*)

図6.SFTS症例数の経時的(週数毎)の推移と過去年平均値との比較




◆お問い合わせ

EIDリサーチ・リソースライブラリ研究グループ
事務局: 名古屋市立大学データサイエンス研究科 間辺研究室内

E-mail :info@eid-library.gr.jp