STUDY01

ベトナムにおけるCOVID-19感染者・死亡者の
発生地域と疾病集積性の検討

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【概要】

ベトナムのCOVID-19の空間的・時間的疾病集積性を明らかにし、経時的な政策、イベントとの関連を検討した。

【使用データ】

ベトナムの症例データ:WHO、ベトナム保健省、メディア等々公表のCOVID-19感染者の報告日・感染確定者の居住地・性別・年齢・職業、入院日、入院医療機関の情報(ベトナム語・英語)をベトナムのプロジェクトメンバーが入手した。

【解析方法】

2020年1月22日のCOVID-19患者1例目から2020年7月31日までのデータを収集し、経時的に感染者数、死亡者数、及び感染者報告地(省)を要約すると共に、発生地マップにより可視化した。

【結果】

2020年1月22日のベトナム初のCOVID-19確定感染者(中国からの輸入例)以来、死亡者の報告がなかった2021年7月末までに558名(男性54.8%)の症例が報告され、内、データが確認された544例について解析を行った。年齢中央値35歳で、感染者の年齢は日本等先進諸国に比べると比較的若い。これは、ベトナム人の平均年齢(31歳)や平均寿命(76.3歳)が影響していることによると考える。

観察期間中、感染者の約60%海外での感染による輸入例であり、最初のアウトブレイク後、約100日間、空港検疫により確認された症例のみの報告が続き、市中感染例の報告はなく、検疫体制の重要性が示唆された。

 

国内感染例では入院期間(中央値)は19日間であった。アウトブレイクの報告があったハノイ市、ダナン市、ハイフォン市、ハイズオン省などでは、経済や観光の中心地であると同時に病院内クラスターも発生し、ベトナムでの感染管理には、院内感染の強化の重要性が示唆された。

 

【研究成果】

 【学術論文】

Manabe T, Phan D, Nohara Y, Kambayashi D, Nguyen TH, Van Do T, Kudo K. Spatiotemporal distribution of COVID-19 during the first 7 months of the epidemic in Vietnam. BMC Infect Dis. 2021 Oct 30;21(1):1124.

https://bmcinfectdis.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12879-021-06822-0

【謝辞】

本研究の実施に当たりファイザー財団様のご協力に感謝の意を表します。